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璃桜は今聞いた話に、朔耶の背中を見つめながら、震える口唇を噛み締めてその場に立ち尽くした。 父の死と悲しむ間も無く受けたその後の理不尽な扱い…、少年の目に焼き付いた、力にねじ伏せられ踏みにじられた最愛の母……。 それからはきっと、以前橘が話してくれた通り。 少年が何を生きる糧としたのか、想像するには及ばない。 ずっと知りたかった……、〈七瀬〉を破滅に追い込む程の復讐、……〈七瀬〉は、叔父達は、朔耶に一体何をしたのかと。 でも、知った真実はあまりにも惨い……。 こんなの、謝ったからといって許される話じゃない。 朔耶も、それを望んでいるとも思えない。 でも、璃桜は叔父に謝って欲しいと思った。 少しでも、人としての心があるのなら……。 「先に見つけたのは…、私だ 」 けれど、叔父の口から出てきたのは、謝罪ではなかった。
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