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あいつは殺した。自分以外は、すでに誰も立っていなかった。
今気づいたが、妹の腕が軽い。
さっきまでつかんでいた妹の、手首から先の体は、消えていた。
胸が空っぽになった。と思った。
悲しい、という感覚ではない。とても大切なものが失われる、その瞬間を感じた。
次に感じたのは、弾けるような怒り。
目の前に立っている、あいつを見据える。黒い、邪悪の塊を。
負けるかどうかは考えなかった。いや、考えてもどうしようもないと、わかっていたのかもしれない。
自分は、戦うのを決めた。
戦い方は知っていた。強く、願うこと。
そして、唱えること。
「……Change」
そのことばが、自分の口から出てきたとき、体が変わった。
鎧に包まれた、騎士。
その姿に、一瞬にして変わった。そして、剣をぬいてあいつに向ける。
走った。剣を、その光る刃を、あいつに振る。
剣が届く前に、視界が暗転する。
最後に見えたのは、あいつのぞっとする笑みだった。
ははっ。
目の前で、鎧の騎士が吹き飛んだ。
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