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ゴム風船は今さっきのショックで、だいぶ空気が抜けていたのだ!
ぷぅーーーーーーっ!
ぷぅーーーーーーっ!
ぷぅーーーーーーっ!
ぷぅーーーーーーっ!
キィオは喉袋をめいいっぱいはらませて、ゴム風船を思いっきり膨らませながら、犬の骸から口を探して必死にまさぐった。
ごおおおーーーーーっ!
「熱い!熱い!熱い!熱い!熱い!あった!」
カラスのキィオは、慌ててビーグル犬の骸の口に洋梨のようにパンパンに膨れたゴム風船の吹き口を加えさせた。
「犬歯と犬歯の中を・・・よし・・・うぎゃーーーーー!!」
遂に、カラスのキィオの尾羽に焼却炉の火が燃え移った。
「わあーーーー!!消えろ消えろ!熱い!熱い!熱い!熱い!熱い!熱い!・・・あれ?」
キィオは、前肢を見た。
「犬・・・」
キィオの体から『カラス』とは異質の力がみなぎり、
どかーーーーん!
と、焼却炉の扉に体当たりして炎地獄から外へ飛び出した。
もう、『カラス』の脱け殻は焼却炉にすっかり燃え尽き焼鳥と化していた。
『ビーグル犬』となったキィオは、厳重なフェンスをよじ登り、有刺鉄線の痛みをこらえてジャンプして、製薬会社の実験棟から無事に逃げ出した。
「やったーーーー!!やったーーーー!!ざまあ!自分は『犬』になっちまったぁーーーー!!」
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