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「無い・・・自分の居場所が無い・・・自分は群れに入れない・・・」
ハシブトガラスのキィオは泣きながら、都会を抜け、山野を横切り、宛どなく飛び回っていた。
「ちくしょう!ちくしょう!なんで僕は『カラス』として生まれてきたんだあああああああ!!!!」
止めどなく大粒の涙を流し、翼を激しくはためかせ、浮浪カラスのキィオは己の『運命』を呪った。
キィオの身体は所々、羽毛は禿げ、羽根もボロボロになっていた。
それは、放浪の途中で出逢った一羽のハシブトガラス。
その名を、『アスレッド』と呼んだ。
そう。あの日、キィオは魂を捨ててしまった時。
何処にも『不適当』というレッテルを張られ、遂にキィオは魂を捨ててしまった時。
・・・僕は『カラス』ではなく、『ハト』として生きよう・・・
キィオは、知り合いのポポ姐さんというドバトに志願して『ハト』として志願した。
しかし、その『カラス』を捨てたキィオにポポ姐さんに罵倒されたとこを、アスレッドというハシブトガラスに見られてしまったのだ。
アスレッドというハシブトガラスは、厳しいカラスだった。
「おい・・・キィオ・・・
同じハシブトガラスとして、てめえには誇りは無いのか・・・!!」
「ひいいいっ!」
キィオは、恐怖の余り悲鳴をあげた。
「ビビってんじゃねーよ!てめえは本当に『カラス』か?
『カラス』じゃねーな!
クズだ!クズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズクズ!!『カラス』の風上にも置けねえクズだ!!
てめえなんか、『カラス』の資格さえねえ!
死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!」
バシッ!バシッ!ボカッ!ボムッ!ズンッ!バシッ!バシッ!ボカッ!ボムッ!ズンッ!バシッ!バシッ!ボカッ!ボムッ!ズンッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!ボカッ!ボムッ!ズンッ!バシッ!バシッ!ボカッ!ボムッ!ズンッ!バシッ!バシッ!ボカッ!ボムッ!ズンッ!バシッ!バシッ!ボカッ!ボムッ!ズンッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!ボカッ!ボムッ!ズンッ!
キィオはアスレッドに執拗にリンチを加えられた。
翼で殴り、嘴で突っつき、脚の鉤爪で蹴り飛ばされ、渾身の力で体当たりされて・・・
キィオが気付いたら、羽根と羽毛がすっかり抜け落ちた醜態を晒していた。
・・・何やってんだ・・・
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