8#そしてオーバチュア

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 ビーグル犬のキィオは空を見上げた。  ・・・懐かしい・・・  ・・・もう一度、あの空を自由に飛びたい・・・  ・・・でも、もうそれも出来ない・・・  ・・・『魔法』には、等価の犠牲が必要とあの不思議なドードーさんが言う通り、自由は犬として生きる道を見出だす代わりにこの『空』を失った・・・  ・・・でもいいんだ・・・  ・・・この大地を踏みしめて、様々な臭いを嗅いで、何処までも駈けていくのがこんなに楽しくて、とってもワクワクするなんて・・・  ・・・あのドードーさんみたいに、風船付けて空を飛ぶってことはそうは無いが、想像で空を飛ぶことが出きる・・・  ・・・ドードーさん、ありがとう・・・  ビーグル犬のキィオは走った。夕闇迫る土手の上を。  人間の側を潜り抜け、  今まで『仲間』だった、カラス達をここぞとばかりに脅かして、  同じ『犬』の通りすがりの野良犬達と会釈と、或いは立ち話をして、  キィオは走る。  何処までも走る。  新たなる自由に向かって。  新たなる試練に向かって。  やがて月日は廻り・・・  キィオは自分がかつて『カラス』だったことを忘れた。  これがドードーの言っていた、『魔法』の等価の犠牲だったことは無論、キィオには解らなかった。  何故なら、  キィオは完全に心も体も『犬』になってしまったからだ。    わおーーーーーーーん!!!!  『犬』のキィオは遠吠えする。  キィオに今まで感じたことの無い、生きる喜びが心身から満ち溢ていた。  ~fin~
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