2#キィオ、ドードー鳥に逢う。

3/4
前へ
/22ページ
次へ
 ざっ  ざっ  ざっ  ざっ  ・・・黒光りする太い嘴・・・  ・・・クリクリした優しい目・・・  ・・・ずんぐり肥った体・・・  ・・・超ちっこい翼・・・  ・・・ムチムチしたお尻・・・  ・・・ぶっとい脚・・・  「もしや・・・?!」  カラスのキィオは、記憶の片隅を隅から隅まで隅々まで調べた。  ・・・確か、聞いたことがあるぞ・・・!  キィオは、だいぶ前に今は追放された『群れ』の中で同僚のカラス達の無駄話に聞き耳をたてていた時・・・  ・・・そうだ・・・  ・・・あいつは、遥か昔人間に絶滅させられて見る影も無いと言われた、幻の『飛べない』鳥の・・・  キィオは、深く息を吸って吐いて、深呼吸してその得体の知れない生物に聞いてみた。  「こんにちわ・・・あなたは・・・噂のドード・・・  ・・・?!」  カラスのキィオは絶句した。  ぷくぅーーーーーー!!  その生物がカラスのキィオに迫ってきたとたん、突然どんどんどんどん膨らんでいったのだ!  「ひええええーーーーー!!こいつはゴム風船だったーーーー!!パンクするーーーーーー!!」  カラスのキィオはかつて、嘴で風船割りに凝っていたことをすっかり忘れ、頭を翼で抱えてブルブル怯えた。  ぷくぅーーーーーーー!!  「うわぁーーーーー!!覆ってきた!!覆ってきた!!」  風船のような生き物は膨らみすぎて、遂にカラスのキィオを包み込んでしまった。  ぷくぅーーーーーー・・・  つん!  「あ!」    カラスのキィオの嘴が、その風船のような生き物お腹を突っついてしまった。  ぱーーーーーーーん!!!!!!  ぷしゅーーーーーーーーーーーー!!!!!!  しゅるしゅるしゅるしゅる!!  風船のような生き物は、カラスのキィオが突っついたお腹から空気が吹き出し、上下左右に鬱蒼とした霧の森の中をぶっ飛んでいった。  「うわーーー!!やばやば!」  カラスのキィオは大慌てして取り乱した。  どすん!  「ぐえっ!」  空気の抜けきった生き物は、カラスのキィオを下敷きにして墜落した。  「あーーーめんごめんご!!」  その生き物は、空気が吹き出していたお腹を太い嘴でグリグリと掻いて、ふぅーっ!と息を吐いた。  
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加