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――緋絽が好きな子は、市ヶ谷さんというらしい。
言っていなかっただけで、2年の当初からずっと片想いしているらしく。
体育祭で盗撮したと言っていたスマホの中の彼女は、セミロングの黒髪が綺麗な女の子だった。
この子が緋絽の好きな子か……。
会ったことも話したこともないけど、きっと可愛い子なんだろう。
「最近席替えで隣になったんだ。カズも俺の席の前の席」
「へぇ!よかったじゃん!」
カズくんは何度か会ったことがある。
緋絽の部活仲間で、前髪をピンで留めてる賑やかな男の子だった。
「市ヶ谷さんは隣だし、カズくんも近いし、いい席じゃないの!」
そう言いながらポンと肩を叩くと。
「……そう、だな」
何故か緋絽は、少し悲しそうに微笑んだ。
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