第1章

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けれども、人間界に返してもらいたいという願いだけは、側近の魔物たちの反対で、 頑として聞き入れてもらえません。 「その願いだけは、聞き入れるわけにはイカン!」 「二度とその言葉を口にするな、再び口にしたときは死罪とする。」 と、他の魔物たちの前で言い放ち恐ろしい顔で睨み付けるのです。 けれども料理人の計画は確実に実を結んでいきます、 じつは、ハンバーグの中の肉の比率を徐々に変えていったのです。 最初は9対1、そして    8対2、      ・    ・   1対 1 というようにし、 最後には豚と牛の合い挽き肉、、、というふうにです。 そして、貴族たちの肉のストックが底をつき この計画のための最後の一食分を残すのみとなりました、 次の人間たちを、 捕まえてこなければならないという前に、計画の仕上げをしなければなりません。 この頃になると料理人に対する魔王の信頼は絶大なものになり、 他の側近には話せないようなことまで相談されるようになっていました。 そうして、いよいよ実行の日、料理人は魔物の料理人に対して、こう告げたのでした。  「今日の料理は、私一人で作ります。もし魔王様から何か言われても知らぬ存ぜぬで とおしてください、私のことは、きになされるな!」 と言い残しました。 そしてこっそりとハンバーグのレシピの、書いてあるノートを、魔物の一人に渡しておいたのです。 当に計画に気付いていた魔物たちですが、余計なことは一切、いいませんでした。 そして、、、いつものようにだされたハンバーグを食べた魔王は、激怒しました。 、、、とてもまずくて臭くて食べられなかったのです!   「直ぐに料理人を呼びつけよ!」  「このハンバーグはまずくて臭いがひどく食えたものではない!」   「いったいどう謂う事なのだ?」 料理人は答えます  「失礼ながら申し上げます。いつもと同じレシピで作ってございます。」   「それほどまでに美味しくありませんか?」 魔王は  「ああ!まずい!!、、まずくて食えたもんではない!」 料理人  「たしかですね?」 魔王   「こんなものを食えるやつは、魔界におらん!そなたからかっておるのか?」 料理人は姿勢をただし、身を整えるとこう話し始めました。  「魔王様には私の料理の才能を認めて、命を助けていただきました。」  「そればかりか奴隷の身分から解放していただき今日まで、
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