君の手

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初めて君の手に触れた日のことは何度思い出してもにやけずにはいられない。 「手、繋ぐ?」 夕暮れの散歩道、ふいに立ち止まった君がそう言ってくれた瞬間は僕の人生でベスト10に入るくらい幸せなワンシーンかもしれない。 こんなこと言うと君は大袈裟だって笑うかもしれないけど。 さらに言うなら、そんな肝心なこと男の僕から言わなきゃいけないんだけど言わせてしまってごめん。 だけどあの時君が手を繋ごうって言ってくれたから、君の言葉を借りるなら 「ここ何年かで一番勇気振り絞った」君の一言があったから今の僕らがいると思うんだ。 まっすぐに僕に向けて差し出された手と、緊張で強張った君の表情のギャップが凄く印象的で愛おしいって言葉が脳裏に浮かんだ。 おじいちゃんとおばあちゃんになるまで一緒にいれるかなんてわからないけど、人生が終わる最期の瞬間に目を閉じて思い出すのはあの日みたいな幸せな1ページだったらいいなって思うんだ。
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