決着

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12月。1年の最後の月である。街はクリスマスに向かって、慌ただしく過ぎていく。この慌ただしさが何だか心地いい。 さて、今は二学期末テストの真っ只中で、午前中のうちに帰宅出来るんだが、ちょっとした事件が勃発する。まぁ、事件というのも大袈裟だけど。懐かしい人物との再会……とでも言うべきか。 その人物とは、そこまで面識は無いし、友好関係は全くと言っていいほどの皆無。しかし気にならないと言えば嘘になる。結局のところ、結論から言えばその人物とは究極的な知り合いレベルでしかない。 期末テスト2日目の帰り道……テストを終えた俺とサヤは校門に差し掛かる頃、その当人の声に呼び止められる。 「よぉ、ガキども。久しぶりだな」 聞いたことのある声……そして当時と変わらぬ容姿……いや、前よりは少し痩せたか? ただ、忘れもしないその人物は俺たちのことを校門で待ち構えていた。 「お前は……伊東さん!?」 そう、その人物とは5月にこの学校で出会った、殺人犯の濡れ衣を着せられた伊東だった。彼がどうしてここに居るのか……そう思った瞬間に、彼はその気持ちを汲み取ったかのように自ら話していく。
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