決着

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「こんなことお前らに伝えるのも変だけど、お前らのお陰でちゃんと戦う決意が出来たからな……ありがとう」 伊東が頭を下げた。少なくとも、あの5月の事件に関わった奴らなら、伊東を白い目で見ないと思う。ふむふむ、遠くの地方に移動するということが、伝えたいことの一つだったみたいだ。 「……で、もう一つの方なんだが、これはお前にじゃなくて他の奴に伝えてほしいんだ……。まぁ、伝えてほしいというか、やり残したことっていうか……」 伊東が伝えたいことを口にしようとしたとき、後方から何やら騒ぎながら下校する生徒が。 「おいコラ辰兄、体育祭んときのアイス、いつ奢るんだヨ」 「うるせ、知るか! その呼び方やめろ! それにもう冬だ、再来年まで我慢しろ!」 「お前、さりげなく来年を飛ばすなヨ。しかも再来年って、ワタシ国に帰ってるネ!」 あー……辰之助と鈴凛だ。すぐ後方には涼子さんもいる。二人のやり取りを微笑んで見ている。そして辰之助が俺に気付いた。 「よぉ、波崎……って、お前っ!」 それと、伊東にも気付いた。 「よぉ、ガキ、丁度いいとこに来たな。簡潔に言うぜ。お前とのケリがまだ付いてなかったよな。勝負しようぜ」 「臨むところだコラ、フルボッコにしてやるよ」 そういえば……前に辰之助が去り際に言ってたような……「今日の勝負は引き分けだから、今度はケリ付ける」……みたいたこと。 えっ、もしかして伊東がやり残したことってまさか……辰之助とケリ付けるってこと!?
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