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「辰之助、伊東さん無罪になったってよ」
「あっそ、んなのどうだっていい。引き分けのままじゃ気持ち悪いからな……んで、いつどこで勝負する?」
辰之助が俺の話をスルーして、不適に笑いながら悪人面で言った。もともと悪人面だけど。
「……この近くに、24時までやってる運動公園あるだろ。そこに19時に集合でいいか?」
「いいだろう。今回は勝ちに行かせてもらうからなっ!」
辰之助と伊東が壮絶な睨みあいをしていると、割って入るように両者の間に涼子さんが入った。
「もぉ……勝負するのはいいけど、暴力的なことは辞めてよね?」
「ケンカなんかしねーよ。するのは……おにごっこだ!」
……ガキくさ。
「それと、伊東さん……罪が晴れてよかったですね」
涼子さんは振り返り、微笑みかけながら伊東にそう言った。
「おぉ、ありがとな。それと……前はすまなかった」
伊東は涼子さんに謝罪した。前に泰史のサボりスポットで涼子さんは伊東の人質になったんだよな。拳銃を頭に突き付けられて……。伊東には殺す意志は無かったんだろうけど……あの時は本気で焦った……。
「前にも謝られたので気にしていません、それより新しい生活、頑張ってくださいね?」
「あぁ、わかった」
涼子さんと伊東がやり取りをしていると、辰之助が涼子さんの手を引いて自分の背後に移動させた。
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