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「おっと、そうそう……おっさん」
「……あ?」
鬼を決める為のじゃんけんをするために6人で小さく輪を作る。そして利き腕を皆で出した瞬間辰之助が伊東に話し掛ける。
「こう見えて俺たち、今テスト期間中なんだよ。だから勝負時間は一時間でいいか?」
「あぁ、いいだろう。つーか前も思ったんだが、俺のことおっさんって言うの止めろ。俺はまだ……」
「じゃーーーんけーーーんっ!!」
伊東の言葉を遮断するように辰之助が声を張り上げてじゃんけんの合図を叫んだ。ちょっと気になる、伊東の年齢……。
ともあれ、じゃんけんが終わり、鬼が決定した。結果、負けたのは泰史。しかしあんまりそれを喜べない……。伊東も含めてここに居る者みな、泰史の化け物クラスの脚力を知っているからだ。
しかし鈴凛だけは常に楽しそうだ。
「ワタシこういうの大好きネ。お勉強なんかしたくないヨ。それに、辰兄が雪見だいふく奢るって言ってたしネ!」
……こいつ、いつも食い物で動いてんのかよ。釣りすぎだし釣られ過ぎ……。
「泰史ぃ、頑張れぇ!」
七海さんが泰史にエールを贈る。嗚呼……俺も傍観側に行きたかった……。
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