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「辰之助、20時になった時点で鬼だったやつが負けでいいんだよな?」
泰史を中心にして、5人が身構えながら散り散りになる。その中で泰史が辰之助に尋ねた。つーか待て……20時まで走りっぱなしってこと!? ムリムリムリ!!
「あぁ、そうだ」
「……はいよ、把握した」
辰之助のその言葉を聞いて、泰史が軽くストレッチを始めた。来るぞ……中学のときとはいえ、全国の頂点に立った泰史が……。
「俺の狙いはただ一人……」
泰史がメンバーを見渡す。
そして……。
「お前だぁー!!」
ギュンっと急激な加速と共に体勢を低くしながら弾丸のような速度で一直線に駆け出した。その先には……。
「おっ、ワタシ狙いカ?」
泰史が最初に狙ったのは、泰史と同等の脚力を持つ鈴凛だった。鈴凛はそれに対応するべく身を構えて駆け出す。
独特の体勢……。腕を風圧に任せ、かなり前のめりになって走るような体勢だ。体育祭以来だが……その時と同じ感想、つまりミサイルのような走り方。
弾丸とミサイルの戦い……果たしてどちらに軍配が上がるのか。リレーのときは叶わなかったが、見所のある勝負ではある。
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