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「あれ、こんなところに祠がある!」
山吹色の丈の短い着物を着たキミは、耳の後ろで二つに縛った長い髪を風になびかせ、元気良く駆けてきた。
興味津々といった顔で祠の周りを一周して、また正面に経って困ったように言った。
「すごく古いね。押したら倒れちゃいそう。」
そう言ってキャッキャと笑って、背負っていた籠を祠のすぐ傍に置いた。
「おとーさんとおかーさんが元気に暮らせますよーに!お願いします!」
手を合わせて元気良くそう言ったキミは、籠を背負って来た時と同じように元気良く駆けていった。
どこの誰だかわからなかったけど、代わり映えの無い退屈な日々を過ごしていた僕にとって、キミはとても輝いて見えた。
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