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なるほどその通りだ。
そして未来の悦は、シンプルで堅牢な、未来のタイムマシンの設計図を手にしていた。
「ここはタイムスリップセンターになる。24機のタイムマシンを新設する」
未来の悦が持ってきた設計図を、研究員たちが早速テーブルに広げて検討すると、工期を大幅に短縮し、量産できる合理性と、十分に信頼できる安全性を兼ね備えていることが想像できた。しかも性能表を見ると、消費電力は試作品の1/200を切る。
その斬新なアイデアに、悦は驚きを隠せない。
しかし、タイムマシンとは、そういう物なのだ。
「どのみち2号機の完成には、半年かかる。それまでゆっくりさせてもらうよ」
新型のタイムマシンの附属の設備として設計図に描いてある、小型モジュール炉の検討を始めた研究員たちを傍目に、未来の悦はそう言って、年を重ねて獲得した、目元が優しく緩んだ微笑みをたたえた。
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