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祥に誘われて引きずり込まれるように始めたバスケだったけど……。
めちゃくちゃ楽しくて。
我を忘れるくらい。
祥が時間も忘れるくらいのめり込んだバスケ。
祥と一緒に無我夢中でしたかったバスケへの想いを留まらせていたのは……
深崎(ミサキ)家の長男としての立場。
俺は……
医者にならなければいけない。
もちろん、親父や母に言われたわけじゃない。
俺が勝手にそう思っていただけ。
母が死んで、俺たちの聖域に土足で上がり込んできた再婚相手の悦子。
悦子は結局1年もしないうちに親父との離婚を決めた。
その時に聞いてしまったんだ。
"「本当の父親じゃないのにどうしてそこまで尽くせるの!?」"
悦子は誰かと電話で喋っていて。
だけど、話の流れからして相手は絶対に親父。
その言葉を聞いた瞬間頭の中が真っ白で。
意味なんて理解出来ない。
リビングの扉のノブを手にしようと空中で彷徨っていたその手をグッと握りしめた。
……本当の父親じゃないって?
誰が?
俺が?
父親と思っていた親父は俺の本当の父親じゃないってこと?
俺がそうなら祥もってこと……?
……涼は……?
急激な吐き気が襲ってきて。
俺は静かにトイレに駆け込んだ。
それと同時に俺に追い打ちをかけたのは……
フレディ・スコットの言葉だった。
「双子ダケド、プレーハ正反対。
私ガ欲シイノハ祥デス。」
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