第1章

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   実際に泣くとかじゃなくても、不幸になったり、少なくとも不愉快な気分にはなるだろうし。  そんな感情を、誰かに植え付けるような恋愛は嫌だな。  結果として、お客さんの部下の人だって、告白した事で傷付いただろうし。 「でもなぁ、部下の人が悪いとか言えないしな」  人を好きになる気持ち。  それが、どんなに純粋だったとして、その人に相手がいただけというもの。出会いの順番が違ってたら、その結果だって違ってたかもしれないし。  部下の人は、自分の年が若い事を恨んだかもしれない。  その気持ちは、私の中にもあるけど。  とにかく恋愛において、自分と相手以外の人が傷付く不倫は、私にはとても出来ないと思う。  だったら、私とマスターの恋愛はどうなんだろう。  基本的なところで不倫では無いし、マスターの心には奥さんがまだいる。だけど奥さんは、もう亡くなってしまっている。
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