第2章

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「俺さ、記憶障害持ってるんだ。」 記憶、障害? 私は言っている事がよく理解できていなかった。 「1年前の6月から前の記憶がすっぽり抜けているんだ。 日常生活には困ってねーよ。 そういう事は覚えてんだ。 ただ、今まで自分がどういう人間だったのか 何が好きで何が嫌いだったのかわからないんだ。」 そう、だったの。 私はとても複雑な気持ちになった。 こうやって、私と普通に話している彼がこんな悩みを持っていたなんて。
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