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「だからそれが理解不能なの。あんなにラブラブなくせに。……いい?そんな呑気に構えていると、いつの間にか保坂君誰かに取られちゃうからね」
「え……取られるって……?」
「知らないの?保坂君、けっこう人気あるんだから。タメにはもちろん、後輩にも人気あるみたいだよ」
「嘘!慶太が!?」
驚きのあまり、立ち上がってしまった。
「ちょっと綾!恥ずかしいから!」
文音のことなど言えた立場ではない。
むしろ私の方が注目されてしまったのだから。
「……ごめん、つい」
周りを見ることなく静かに座ると、また文音は呆れたように溜息を漏らした。
「一緒に住んでいて、幼なじみで?そりゃ親しいってみんな思うかもしれないけど、ある視点から見たらそれ止まりなのかもしれないよ?……好きなら好きって言わないと」
「う……ん」
慶太のこと、好きか嫌いかって聞かれたらもちろん好きって答える。
でも私にとって慶太は家族みたいな存在で、いつも隣にいるのが当たり前で……。
私から離れていく、なんて考えが全く浮かばないくらい隣にいるのが自然なこと。
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