当たり前な日常

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ふん!と鼻を鳴らし、慶太の隣に座って用意されていた朝食を口に運ぶ。 「よく朝からそんなガツガツ食えるよな。羨ましいよ、本当」 横目に感じる視線。そしてしみじみ言うその言葉にカチンときてしまう。 「慶太こそ、ちゃんと食べないから男のくせにそんなにひょろいんだよ?細すぎて女の子みたいだし!」 「はぁ?」 勘にさわったのか、怪訝そうに声を上げる慶太。 だけどこんなのいつものこと。無視を決め込み朝のニュース番組を見ながらパンを頬張った。 すると隣からは舌打ちが聞こえてくる。 朝から舌打ちしちゃうこの男。 私の幼なじみでもあり、今や兄妹のようにひとつ屋根の下で生活を共にしている男でもある。 同い年の保坂慶太。 元々私の家の隣にあるアパートに暮らしていた慶太。 同い年の友達が近所にはいなかったせいもあるけど、物心ついた頃からずっと一緒に遊んでいて、親同士も交えて親交する仲だった。 よく家族ぐるみで旅行に行ったり、私と慶太はお互いの家でお泊り会をしたり。 毎日が楽しくて、幼稚園に行ってもずっと慶太と一緒だった。
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