当たり前な日常

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そう。慶太は負けず嫌いだ。 勉強も運動も常に一番だし。文武両道なんだから、もっと上の高校だって充分狙えたはずなのに、家から近いからって理由で私と同じ高校を選んだ。 中学校の先生を何人泣かせたことか……。 でも、私は嬉しかったりする。だってそのおかげでこうやって高校三年間、慶太と一緒に通うことができるのだから。 「な~にニヤニヤしてんだよ」 「……えぇ!?私ってばニヤニヤしてた!?」 嘘!全くの無自覚!! 両手はふたり分の鞄で埋まっていて、手で顔を隠すことができない。 そんな私の顔を慶太はグッと距離を縮め、覗き込んできた。 「あぁ、バカが余計バカに見えた」 「なっ……!」 「イシシッ」とまるでいたずらっ子のように笑ったかと思えば、立ち尽くす私を残して駆け出す慶太。 「……あっ!こら慶太!!ちょっと待ちなさいよ!バカってなによ、バカって!!」
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