歩きたい

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現在11時27分。いつまでも寝ている渡邊を起こし、急いで会社へ戻ったが皆帰った後だった。何故こんな遅くになっても会社へ戻ったかと言うと、佐伯は――【どんなに遅くなってもいいので彼を必ず会社に連れて来てください】――と言ったらしいのだ 『さすがに皆帰ったか…もうこんな時間だもんな』 『渡邊副社長がなかなか起きないからですよ?とりあえず書類に眼を通していただかないと』 『渡邊副社長、昨日そんなに飲んだのか?気付かなかった』 『俺も俺も。なんか、いつも無表情なんだよなぁ』 「ご苦労様。大変だったね」 他社の、それも副社長の机に座っている人物に気付き皆が視線を向けた。そう、佐伯だ。彼らが帰って来るのを待っていてくれたらしい。隣に置いてあったビニール袋を取りこちらに歩み寄った彼は一人ずつサンドイッチと缶珈琲を渡した 「お腹空いたでしょ。こんなものしかなくてごめんね。残業としては事務に言っておくから、今日は帰っていいよ?お疲れ様」 こういった一面があるから信頼されているのだろう。いくら厳しくても褒める所ではちゃんと褒める。子供の躾と同じだ
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