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跡部会社社員が出て行く瞬間、佐伯の表情が歪んだのを渡邊は見逃さなかった。理由は分からなかったが、そのまま帰してはイケないと感じた
「あ、あの!……よろしければ是から食事にでも行きませんか?今日はもう終わりますから」
ガタンとかなり大きな音を鳴らせて立つと跡部の方を向き微笑みながら食事に誘ったが、これは意外にも承諾された。佐伯は驚き、渡邊は安心した。更に追い討ちをかけるように佐伯も誘ったのだ
『どうじゃ?透も一緒に』
「えっ、あの……僕は」
「私はかまいませんよ。ちょうどいい店を知っているんです。そこへ行きましょう」
『おぉ、それはいい考えじゃ。よし、そこへ行くぞ。個室でゆっくりと話さぬか?』
「お祖父様!!」
「佐伯も行こう?まだゆっくりしてないんだろ?」
渡邊にそう言われて断れるわけがないのに――そう思いながらしぶしぶ頷くと嬉しそうに微笑む人物が二人、つられて佐伯も微笑んだ
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