そして

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渡邊の紹介した店に着いた。外観は薄いオレンジ色で派手な装飾はなかったので、どちらかというと清潔なイメージを持った。点々と置かれた蝋燭の灯りは穏やかで、どこか安心する。中に入ると水色のような緑色の壁と絨毯、家具は白く机には鮮やかな碧色のテーブルクロスがかかっていた。雰囲気からすると、ここはフランス料理の店らしい 渡邊は慣れた様子で店員に2・3告げると個室に通された。決して狭くはない室内が心地よく思えた 「何か苦手な物はありますか?」 『わしは特にないが、透は昔からオリーブが苦手じゃから出来るだけ避けていただきたい。まぁ、君に任せるよ』 「失礼します。お祖父様、それは違います。オリーブは苦手ではありません。食べられないのです」 『そうじゃったな。透よ、多少間違えたくらいでグチグチ言うな』 「ったく。…すみません。オリーブにだけはアレルギー反応が出てしまうので…」 「そうか。なら、任せてもらっていい?」 5分程メニューを眺めると店員に指示しワインを持ってこさせた。食前酒には白を選んだらしい 「ここは酒も料理も最高です。どうぞ寛いでください」
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