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『わしらはな、本当の家族じゃない。透の本当の家族はもうこの世におらんのじゃ。施設におった透をわしが引き取った。引き取ってからわしは透の笑顔を一度も見た事はない……本当の家族と認められてないのかも知れんな』
「……」
『何を言っていいのか分からんのじゃろ?分かっとる。アイツは愛情というモノを知らん。わしでは無理なのじゃ……もしや、そなたならばアイツを…家族ではない愛情を教えられるのではないか?透が好きなんじゃろ?』
「私は……」
『行ってこい。わしはかまわん。嘘ではない、とても楽しかった。また誘ってくれ』
「…失礼します」
軽く会釈をすると渡邊は佐伯を追って席を立った。店員にカードを渡すと振り返る事なく店を出た
どちらに向かったかは分からないが直感を信じて掛け出したのだ。へたをするとすれ違いどこれか会えないだろうとよそされるのに、それでも渡邊は掛け出した
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