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佐伯は腕時計を見ながら川沿いを歩いていた。月明かりに照らされて波が綺麗に揺れていた
「……暇…」
近くの大きめの石に腰掛け月を眺めていたが、限度がある。小さく溜め息をつき辺りを見渡し人がいないのを確認すると靴下と靴を脱ぎ川に入っていった。服が濡れるとイケないので膝下くらいまでしか入れなかったが、水は冷たくて心地よい
そうしているうちに誰かが呼んだような気がして辺りを見渡した。気のせいだろうと視線を戻したが、今度ははっきりと聞こえた
「佐伯~!何処にいる」
「渡邊さん。どうしたんですか?お祖父様は?」
「いや、それよりも聞いてくれ。俺は……佐伯が好きだ。初めて会った時から…愛してる」
あまりにも真剣な表情にふざけないでと言えなくなった。『僕は…』と自分に問いかけると意外にもすぐに答えは見つかった。いや、最初から分かっていた
「僕は…僕も、貴方が好きです」
「佐伯……凄く嬉しい。ありがとう…」
「あ、あの…いくら夜だと言っても男同士で抱き合うのは……」
「いいじゃん。ねぇ、お祖父様は?好き?」
「お祖父様は……あまりにも歳が離れているのでそう呼んでいますが、あの方は僕の父親になってくれました。家族として…息子として、愛しています」
「……それ、跡部社長に言ってあげた方がいいよ」
「その心配は無用です。僕の服に盗聴機+発信機付けてますから、あの人」
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