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「服の中に見つけて処分してもまた新しいのが……もう少し息子を信用してくれてもいいのに」
そういって、拗ねたように顔を逸らした佐伯が可愛く思えた。また、彼の黒髪が月明かりに照らされてよけいに綺麗に感じた
「あの方は、君を護りたいだけなんだと思うよ。……すごく大切にしてるだけだと…」
抱き締めた彼は細くて、力を入れたら折れそうだった。頬に触れた指先は冷たかった
「渡邊さん……」
「俺も…佐伯を護りたい。何でも話して?もっと俺を頼って?……絶対に独りでは泣かないで?」
「……うん」
渡邊の声は心地よくて、擦り寄った胸は広くて安心した。胸元に顔を埋めて鼓動を聞いているだけで、他の事は考えたくなかった
それほど大柄な体格ではない彼けど、その背中が大きく見えたのは――気のせいじゃないだろう
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