第1章

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直ぐにでも康治に伝えようかと思ったが、少し悪戯心が芽生えて明日に迫る康治の誕生日まで我慢した。 午前0時、風呂上がりの康治はいつものようにビールを飲んでいた。 「康治、お誕生日おめでとう!」 「うわっ!ありがとう、真紀!」 キスをしようと待ち構えている康治に待てをした。 「どうした?」 康治は少し寂しそうに見つめていた。 「あのね、今日病院行ったでしょ?」 「うん。何も言わないから気になってたんだけど、どうだった?」 心配している康治に申し訳ない気持ちになった。 「うん。赤ちゃん出来たみたい。」 康治の目があり得ないほど開いた。 「本当に?」 「うん。6週目だって。」 康治の目は潤んでいるように見えた。 「ありがとう、真紀。これまでで一番嬉しい誕生日だよ。」 康治は力の限り抱き締めて言った。 震えて感じる康治の腕に泣いているのは判ったが気づかない振りをして康治の腕の中で喜びを噛み締めた。
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