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しかし、そこから先は全く思い出せない。
「どうなっているんだ?」
その時、何かの遠吠えが聞こえてきた。ここからかなり近い。
「さっきのちびっこが親を呼びに行ったのか?」
だとしたらまずい。キースは急いで立ち上がる。とりあえずこの森から早く出なければ。ふと、近くに竹刀が落ちているのが見えた。キースはそれを拾う。これで幾分か安心はできるだろう。
「さて、さっきのが戻らない内にさっさと退散しますか」
誰ともなく呟きキースは足を進めるのだった。
――――――――――――――
「はぁ…はぁ…」
桃色のドレスを着た少女は暗い森の中を走っていた。
髪は腰まである透き通るようなストレートの銀髪で綺麗に整った顔から汗が吹き出ていた。
「もう!どうして私がこんな目に…」
少女は金色の瞳に涙を浮かべながら呟く。
本当に唐突だった。いつものように自分の部屋で本を読んでいたら突然ガラスが割れたような音が聞こえてきた。何事かと椅子から立ち上がると、ドアが開き、一人の騎士が入ってきた。何でも侵入者が入ってきたらしい。まさか、この時は自分を狙って来るとは思わなかった。しかし、現実は残酷なもので侵入者は自分を見るなり追いかけてきた。そして必死に逃げ回っている内に森に来てしまったわけである。
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