石油王の花嫁

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翌日の朝10時、目を覚ました京介はまだ眠っている真弘を起こさないようにベットから下り私服に着替えた。 そして京介は家を出てタクシーでアランが宿泊しているホテルに向かった。 その頃、アランはミナと一緒に部屋で朝食を食べていた。 『朝食を食べたらホテルを出ましょう』 『そうだな』 『アラン様、早く召し上がらないと遅れますよ』 『ああ…』 手を止めていたアランは再び食事を始めた。 10時40分、部屋のドアを叩く音がした。 『私が出ます』 ミナはドアに近づきドアを開いた。 『良かった、まだ居た』 京介は部屋の中に入った。 ミナはコップに水を入れそのコップを『どうぞ』と言って京介に差し出した。 『ありがとうございます』 コップを受けとると京介は水を飲んだ。 アランは席を立ち『なぜホテルに来たんだ、話は解決したのか』と京介に言った。 京介はコップを持ってテーブルに近づくとそのコップをテーブルに置きアランに目を向け口を開いた。 『やっぱり一緒には行けません、ごめんなさい』 京介は頭を下げた。 『…ミナ、空港に行くぞ…』 『はい』 『……』 アランは京介に顔を上げさせ見つめると何も言わずミナと共に部屋を出ていった。 廊下を歩きながらミナは『何も言わないで良いのですか?』と言った。 『遅れるぞ』 アランはミナより先を歩き受け付けに向かった。 受付でお金を払ったミナとアランは駐車所に止めてある車に向かった。 『アラン様…』 『何も言うな』 アランはドアを開き助手席に乗り込んだ。 ミナもドアを開き運転席に乗り込むと空港に向かうため車を走らせた。 部屋の中で京介は床に座り込みなぜか涙が流れた。 車を走らせながらミナはチラチラとアランの様子をうかがった。 『何か俺に言いたいことでもあるのか』 気配を感じたアランは外を眺めながらミナに言った。 運転しながら『悲しい顔をされるなら、なぜ京介さんを無理にでも連れていかないのですか』とミナが言った。 『行く気がない相手を無理に連れていってもお互い辛くなるだけだ』 『…アラン様…』 その後、ミナは無言のまま車を走らせた。 それからしばらくして空港の駐車所に着いたアランとミナは車から下り空港の中に入った。
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