石油王の花嫁

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『飲み物持ってきたぞ』 お茶が入ったペットボトルを2本、持ってきた京介は真弘に抱き寄せられ2本のペットボトルを床に落とした。 『どうしたんだよ…兄貴?』 真弘に抱き寄せられたまま京介は真弘の顔を見つめた。 真弘は無言のまま京介を気持ちが落ち着くまで抱き寄せた。 それからしばらくして真弘は京介を離し顔を見つめると紙を見せながら口を開いた。 『会いに行くのか』 『……』 京介は紙を奪い取り真弘から目をそらした。 『京介、俺を好きだよな、俺から離れないよな、答えてくれ』 『当たり前だろ、俺は兄貴が好きだ』 『京介』 真弘は京介を抱き締めた。 京介は真弘に抱き締められながら心の中ではアランに会うか会わないか揺らいでいた。 『お前は昔から嘘が下手だ』 真弘は京介を離し顔を見つめながら笑みを浮かべた。 『……』 『俺に抱かれていてもお前の心はアランを思っている、そんな奴を抱いても俺は悲しい…京介、今日で兄弟の恋愛は終わりだ』 真弘は手を伸ばし京介の頬に触れた。 『…兄貴…嫌だ…別れるなんて』 京介は目から涙を流した。 『泣くな京介、俺だって別れたくない…』 泣きながら見つめる京介に真弘は抱き締め口づけを交わした。 その後、真弘は気を失うまで京介の体を抱いた。 そして真弘は隣で寝ている京介を起こさないようにベットからおり携帯を持って寝室を出た。 真弘は携帯を開きしずる社長に電話をかけた。 『もしもし真弘ですけど、社長にお願いがあります、今から会えないでしょうか』 しずる社長に会う許可を得ると真弘は電話を切り出掛けていった。 先に待ち合い場所の喫茶店についた真弘は椅子に座り珈琲を注文した。 その後、珈琲が真弘の前に置かれると真弘は珈琲を飲みながら社長を待った。 『遅れてごめん』 しずる社長は向かい合って椅子に座った。 『いらっしゃいませ』 店員が声をかけた。 『すぐ出ますから…注文はいいです』 しずる社長は注文を断り店員はその場から離れていった。 『話があるって何』 『俺と京介は別れることになりました、それと京介は明日、アラブに行きます』 『それって』 『はい、京介は仕事を辞めアランの妻になります』 『……』 悲しげな顔で話す真弘の手をしずるは優しく触れた。
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