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軽自動車の窓を開けてキュウサクがいうと、佳子は助手席の方へ回り込みました。
「月法さん、日法さん、私、これから知り合いの所へ行くので、2人を送っていってください」
佳子が声をかけると、月法と日法は無表情にうなずくと、佐藤君と山田君と歩いていきました。それを見た佳子は、軽自動車の助手席へ乗り込みました。
「キュウサクさん、事務所に美霊ちゃんいるかな?」
「ええ、いらっしゃいますよ! 何かご用でも?」
うん! ちょっと、話したいことがあるから。事務所へ連れてってくれるかな?」
するとキュウサクは、「了解しましたよ!」というと、ピンク色の軽自動車を走らせて、ナラクの美霊の事務所へ向かったのでした。
そのころ、美霊の事務所では、さっきから美霊がイライラしたように、キュウサクを待っていました。
「キュウサクったら、遅いんだから! どこまで買いに行ったのかしら!」
美霊は一人言をつぶやくと、「リン!」といったので、ソファに座っている美霊の膝に、霊犬リンが飛び乗り、ワン! と吠えました。
「リン、お腹減ったでしょ? ごめんね! もう少し待っててね!」
霊犬リンが、美霊の膝の上でキューンと鳴くと、事務所のドアを騒々しく開けて、キュウサクが入ってきました。
「お待たせいたしました! 買ってきましたよ!」
キュウサクの手には、スーパーの袋が下がっています。
「キュウサク、遅いわよ! どこまで行ってたの!?」
リンを抱きながら、美霊が立ち上がって、怒ったようにキュウサクをにらみました。
「すみませんね! あいにく、ナラクのスーパーにはなかったので、みなとのスーパーまで行ったんでございますよ!」
キュウサクは、美霊にいいつけられ、スーパーにリンの餌を買いに行っていたのです。すると、キュウサクの背後から、佳子が姿を現しました。
「アラ、佳子さん! ごきげんよう! キュウサクと一緒に来たのかしら?」
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