第4話~怪僧・青坊主~

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「おい、こんな道、知らないぞ!」 そういったのは、佐藤信二君です。一緒にいた山田直人君も、小首をかしげていいました。 「どうやら、道に迷ったみたいだよ」 佐藤君と山田君は、友だちに誘われて、釣り堀に行くために、みなとの町を歩いていたのですが、どうやら道に迷ってしまったようでした。 「引き返すか…」と、佐藤君がいいましたが、山田君は誰かに道をたずねようといいました。 誰に道を聞こうかと思っていると、チリン、チリン、と自転車のベルが聞こえ、二人が振り向くと、赤い自転車に乗った郵便配達夫が走ってきました。二人がその顔を良く見てみると、それが白いガイコツだったので、佐藤君も山田君もビックリしてしまいました。 二人して「ワァ!」と叫んで路地裏を逃げ回ると、家のガラス戸を開けて人が出てきたので、助けを求めてかけよりました。 「た、助けてください!」 山田君が声をあげると、家から出てきた人が、 「なんか、ようかい?」 といって顔を二人の方へ向けると、その顔が目玉がいくつもあるオバケだったので、二人は大慌てで走って逃げると、目の前に黒い法衣を着たお坊さんが立っていたので、二人はお坊さんにかけよりました。 「た、助けて!」 「お坊さん、助けてください!」 佐藤君と山田君が声をあげると、お坊さんは微笑んでいいました。 「おい、おい、どうしたんだい、そんなに慌てて?」 「お、俺たち、道に迷って、変な町に迷いこんじゃったんだ!」 「お、お願いです! 僕たちを元の町へ戻してください!」 佐藤君と山田君が泣き声をあげてお坊さんに泣きつくと、お坊さんは細い目をさらに細くして、微笑んでいいました。 「そんなに怖がることはないよ。道に迷ってしまったんだね。見たところ、相当、疲れている様子だ。しばらく、和尚さんのお寺で休んで行くのがいいだろう」
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