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お坊さんが優しくそういったので、佐藤君と山田君は顔を見合わせてうなずくと、お坊さんのいう通りにするといいました。
「そうかい。では、さっそく、和尚さんのお寺へ行こう!」
和尚さんはそういうと、佐藤君と山田君を、自分が住職をしているという"照光寺"というお寺へ連れて行きました。
「ほら、ここが照光寺だよ」
和尚さんが指さす先には、大きな門のある立派なお寺がありました。門の上の大きな板に、照光寺と文字が刻まれています。和尚さんは、二人を連れて門をくぐり、境内へ歩いて行きました。
照光寺の境内には、石灯籠やら、お地蔵さんがありました。お地蔵さんはとても小さく、6人並んで、にこやかな表情を浮かべています。佐藤君も山田君も、そんなお地蔵さんを見ると、心が和んでくるのでした。
和尚さんは、二人をお寺の中へ招き入れました。そして、普段、食事をするという部屋へ通されました。和尚さんは、その部屋の隣にある台所へ行くと、カップメンにお湯を入れて戻ってきました。
「さあ、さあ、お二人さん、これを食べなさい!」
和尚さんがカップメンを佐藤君と山田君に渡したので、二人は3分待って、カップメンをズルズルとすすりました。すると、そこへ、佐藤君と山田君と同い年ぐらいの小坊主さんが二人、やってきました。二人の小坊主は、紺色の作務衣を着ています。
「和尚さん、そのカップメンは…」
と、背の高い方の小坊主がいいかけると、和尚さんは「シーッ!」といって、口の前で人さし指を立てました。すると、勘のいい山田君は、自分たちが食べているカップメンが、小坊主たちのものだったのではないかと思い、何だか申し訳ないような気持ちいになってしまったのでした。
二人の小坊主がカップメンをジッと見ていると、和尚さんがいいました。
「ああ、お前たちは、境内を掃除していなさい!」
すると、二人の小坊主は、佐藤君と山田君の顔からプイッと目をそらし、お寺の外へ走っていきました。
「ハハハ…。どうも無作法な小坊主で…あ、ジュースも飲むかい?」
和尚さんはまた台所へ行き、コップにジュースをそそいで戻ってくると、座卓にコップを置きました。
「あ、あの、このジュース、さっきの小坊主さんたちの物じゃあないんですか?」
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