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山田君はためらい、ジュースを飲むのをやめると、隣でおいしそうにジュースを飲んでいる佐藤君を肘で突きました。
「ああ、いいんだ、いいんだ、まだジュースはあるから、それは君たちが飲んでいいんだよ!」
和尚さんがそういったので、佐藤君は「だってさ!」というと、またジュースを飲み、カップメンをすすりました。
「本当にいいんですか?」と、山田君が和尚さんにたずねると、和尚さんはニコニコと微笑みながら、「いいんだよ! 飲みなさい!」といったので、山田君はジュースの魅力には勝てず、コップを手に持ち、ゴクゴクと喉を鳴らしてジュースを飲んだのでした。
「ところで、お二人さんは、どこの学校へ通ってるんだい?」
和尚さんにたずねられ、佐藤君は「みなと小だよ!」といいました。
「ああ、みなと小の…」
和尚さんは、うなずいて微笑みました。
「カップメンを食べたら、小坊主にいってみなとの町へ帰してあげよう」
「本当ですか?」と、山田君は喜んでいいました。
「ああ、本当だよ。それに君たち、明日から、この照光寺へ遊びに来るといいよ。二人の小坊主もいることだし、きっと楽しいぞ!」
和尚さんがそんなことをいったので、山田君が「でも…」とつぶやきました。
「僕たち、照光寺へ来る道がわかりませんよ」
「何、そんなことは問題じゃない。小坊主に案内してもらえばいい。どこかで待ち合わせをしてから、小坊主とこの寺に来ればいいんだ。どうだい、お二人さん?」
「うん! 何だか楽しそうだから、明日から遊びに来るよ!」
佐藤君が楽しそうにいいましたが、用心深い山田君は、まだ和尚さんを信じてはいないようでした。
「二人とも、カップメンを食べ終わったかな? そうか。それでは、小坊主にいって、みなとの町へ帰してあげよう」
和尚さんはそういうと、佐藤君と山田君を境内の方へ連れて行きました。
「おーい、月法、日法、この人間…いや、このお二人さんを、みなとの町までおくってくれないか?」
和尚さんの言葉に、背の高い月法が「わかりました」と返事をしました。背の低い日法はだまりこんでいます。
「うん、では、お二人さん、明日もこの寺にいらっしゃい! おいしいおやつを用意して待っているから!」
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