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ニコニコと微笑む和尚さんがそういったので、月法と日法は、佐藤君と山田君を連れて、みなとの町へ行ったのでした。
翌日、佐藤君と山田君は、照光寺へ行くか話していました。用心深い山田君は、やめたほうがいいといいましたが、食いしん坊の佐藤君は、おやつの魅力に勝てなかったのです。
「だって、照光寺へ行けば、おやつを食べさせてくれるんだぞ!」
「そ、それはそうだけど…あの和尚さんや小坊主、怪しくないか?」
山田君が眉間にしわをよせ、声をひそませていいました。
「ちっとも、怪しくないよ! おやつを食べさせてくれる、いい和尚さんだよ! なあ、行こうぜ!」
佐藤君は強情な性格なので、一度決めたら、テコでも動きません。
「お前が行かなくても、俺は行くからな!」
佐藤君にそういわれ、山田君は佐藤君が心配になってしまい、仕方なく、佐藤君と一緒に照光寺へ行くことに決めたのです。
昨日、月法と日法と約束した通り、午後4時にスーパーカメイの前で待っていると、時間通り、月法と日法がやってきました。月法と日法は、相変わらず無表情で、愛想がありません。
「では、行こう」と、月法がいったので、佐藤君と山田君は、月法と日法の後をついて行きました。
歩きながら、山田君は道を覚えようと思っていましたが、月法と日法が迷路のような道を歩いて行くので、山田君は道を覚えることができず、自分がどこを歩いているのかわからなくなってしまいました。
(昨日と同じだ…)
山田君は、心の中でつぶやきました。昨日と同じように、道がわからなくなってしまったので、山田君は心配でなりませんでしたが、根っから陽気な佐藤君は心配などせず、今日はどんなおやつを食べさせてくれるだろうど考え、とてもワクワクとしたように見えます。迷路のような路地を歩いていると、やがて照光寺へ着いたのでした。
4人は門をくぐり、境内を歩いてお寺の玄関へ行くと、月法がお寺の奥に声をかけました。
「和尚さーん、お連れしましたよ!」
すると奥から、法衣を着た和尚さんが、細い目をさらに細くさせて、微笑みながら玄関の方へ歩いてきました。
「これは、これは、良く来たねぇ。さあ、あがんなさい! 月法と日法は、境内の掃除をしていなさい!」
月法と日法は、和尚さんの言葉を聞くと、境内の方へ歩いて行きました。
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