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「今日は、お二人さんに、仏さまの拝みかたを教えてあげようと思うんだ。その後で、おやつを食べさせてあげようじゃないか!」
和尚さんがそういうと、佐藤君は、おやつが食べたい一心で、和尚さんにいいました。
「和尚さん、早く、仏さまを拝ませてください!」
「いい心掛けだね! では、仏さまのいらっしゃる本堂へ行こう!」
和尚さんは、二人を連れて、本堂へ歩いて行きました。長い廊下を歩いて行くと、広い本堂へ入りました。本堂には、とても古びた、大きな木彫りの仏さまが鎮座しています。しかし、山田君は、仏さまのお顔を見て、変だなと思いました。学校の教科書などで見る仏さまのお顔はすましたようなお顔なのに、目の前の仏さまのお顔は、何だか怒っているような表情をしているのです。
「和尚さん、どうしてこの仏さまは、怒ってるようなお顔をされてるんですか?」
山田君は疑問に思い、和尚さんに聞いてみました。すると、和尚さんは、一瞬、怒ったような表情を浮かべ、
「そんなことは、どうでもいいんだ!」
といったので、山田君は「えっ?」と声をあげました。
「いや、いや、何でもないよ。それでは、仏さまを拝もうか!」
和尚さんは今はもう、ニコニコと微笑んでいったので、山田君は変だと思ったのでした。
「では、君たち、仏さまの前にアグラをかいて座りなさい」
二人はいわれた通り、仏さまの前でアグラをかいて座りました。しかし、山田君がカジッた知識では、このような場合は、はんかふざや、けっかふざで座るのが普通なので、山田君はそのことを和尚さんにいうと、和尚さんはまた怒った表情を浮かべ、
「そんなことは、どうでもいい!」
といったので、山田君は和尚さんのことが益々、おかしいと思ってしまいました。山田君が変な和尚さんだなと思っていると、和尚さんはまた穏やかに微笑んでいいました。
「さあ、仏さまを見つめて、頭の中を空っぽにするんだ!」
佐藤君と山田君は、和尚さんにいわれた通り、仏さまを見つめて、頭の中を空っぽにしようとしました。
なかなか、頭の中を空っぽにすることはできませんでしたが、二人が頑張って頭の中を空っぽにしようとしていると、何やら自分の体がジワジワするような、妙な感覚に襲われてしまったのです。
「わぁ! 何だか、体がジワジワする!」
佐藤君が声をあげると、和尚さんは微笑みながら、「それでいいんだよ」といいました。
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