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(な、何だか、気持ち悪いな…)
山田君は、心の中でつぶやきました。チラチラと隣の佐藤君を見ると、佐藤君はほっぺたをヒクヒクさせて、ニヤニヤと笑っています。そうやって、十数分、仏さまを見つめていたのか、和尚さんが「もう、いいよ」といったので、二人は体の力を抜いたのでした。
「ああ、俺、何だか、疲れたよ! 腹が減っちゃった!」
佐藤君がそういいましたが、山田君は、ただ座っていただけなのに、体が疲れてしまったことに、何やら不安を感じてしまったのでした。
和尚さんは、二人を連れて、本堂から出ると、食事をする部屋へ行きました。そして、おやつのカステラとコーラを出してくれました。
二人がカステラを食べ、コーラを飲んでしまうと、和尚さんは月法と日法にいいつけて、佐藤君と山田君をみなとの町におくらせたのでした。
それから数日間、佐藤君と山田君は、照光寺に通い続けました。山田君は最初のうちはおかしいと思っていたのですが、そのうちにそんなことも考えられないほど疲れきってしまったのです。
二人の様子がおかしいことに気がついたのは、幼なじみの小林佳子でした。佳子は二人とは、幼稚園のころからの幼なじみだったのです。小学校に上がってもクラスが一緒で、いつも仲良くしていたのです。そんな佳子ですから、佐藤君と山田君が痩せてきて、元気がなくなってきたことをおかしいと考え、そのことを二人に聞くと、佐藤君がいいました。
「照光寺ってお寺で仏さまを拝んでから、おやつを食べさせてくれるんだ!
このおやつがおいしいのなんのって!
」
佐藤君が、嬉しそうにいうと、佳子はその照光寺に何かあるに違いないと思い、二人に自分も照光寺に行きたいと伝えました。
「そうか。佳子を連れてったら、和尚さんは喜ぶかもな! よし、佳子も連れってやるよ! 今日の4時に、スーパーカメイの前で待ち合わせだ!」
佐藤君にそういわれ、佳子は「うん、わかった!」と約束し、その日の4時に、スーパーカメイへ行ったのでした。
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