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佳子は体がザワザワする嫌な感じに本能的に危機感を感じていました。チラッと隣の佐藤君と山田君を見ると、二人は一生懸命、仏さまを見つめているようでした。
そうやって十数分、仏さまを見つめていると、和尚さんがいいました。
「よし! 今日は、もういいよ! 疲れただろう? では、おやつにしよう!」
和尚さんは、3人を別の部屋へ連れていきました。和尚さんが座卓へホットプレートを置くと、ホットケーキを焼きはじめました。ホットケーキの良い香りが辺りにたちこめると、佐藤君は唾を飲み込んでいいました。
「わーい、今日は、ホットケーキだ!」
和尚さんは、焼き上がったホットケーキをお皿の上に乗せ、バターをのせ、蜂蜜をかけました。
「さあ、さあ、3人とも、めしあがれ!」
和尚さんがいうと、佐藤君と山田君は、ナイフとフォークを使い、夢中になってホットケーキを食べはじめました。
「和尚さん、ホットケーキ、凄くおいしいよ!」
佐藤君が嬉しそうにいうと、和尚さんは、「それは良かった!」と笑いました。しかし、佳子は気が進まず、ホットケーキに手をつけませんでした。和尚さんは、それを見ると、佳子にいいました。
「どうしたんだい、佳子さん。ホットケーキを食べないのかい?」
「あ、あの…私、お腹がいっぱいなねで…」
「そうかい? それでは、ジュースをあげよう」
和尚さんは立ち上がって台所へ行くと、コップにジュースを入れて戻って来ました。
座卓へジュースの入ったコップを3つ置くと、佐藤君と山田君は、ジュースを飲みました。しばらくして、佐藤君と山田君は、ホットケーキを食べ終わると、そろそろ帰ろうということになり、和尚さんは、月法と日法にいいつけて、3人をみなとの町までおくっていかせました。
月法と日法の後をついて、迷路のような路地を歩いていると、見覚えのある、ピンク色の軽自動車が走ってくるのが見えました。佳子が運転席をのぞきこむと、そこにいたのは、キュウサクだったのです。
佳子が「キュウサクさん!」と声をかけると、キュウサクはブレーキを踏んで、軽自動車を停めました。
「ああ、これは、佳子さま! こんにちは! こんな所で何をしているんでございますか?」
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