第1章

10/12
前へ
/12ページ
次へ
それから二、三時間仕事に明け暮れ……ているわけでもなく、ただダラダラと過ごしていた。あれから何を考えて何を選択するのか。私は見届けなければならない。雪乃の選択と、答えを。 そして来た学校前。聖羅さんは先に到着していた。さすがに時間には正確だ。私には出来ない。 「お待たせしました。そろそろ放課後ですね」 そこには不安げな表情で佇んでいる聖羅さんがいた。 「大丈夫ですよ、私も今来たところですから。何と言いますか、不安ですね。娘の英断をこんな早くに見てしまうのも。もしかしたら私を親だとは言ってくれなくなってしまいそうで。……そうしたら私、どうしたらいいんでしょうか」 ふむ。確かにそうだ。しかしこういうのは大抵親へ行くと決まっている。大丈夫だとは思うが……。 「大丈夫だとは思いますよ。私は何もしていません。こんな私のところに来るとは思えませんから」 「……そうでしょうか。あなたみたいな人だからこそ、側にいたくなる。そんな気がします」 ……よくわからないな。私のどこを見てそう言っているのか。たまにわからなくなる時がある。聖羅さんに限っての話ではない。真央もそうだ。どうして私の家にいるのか、本当にわからない時が多々ある。 「とにかく行きましょう。英断を見届けに」 そう言って学校に足を運ぶ。チャイムはまだ鳴っていない。しかし考えは英断を見届ける。それだけだった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加