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翌日のことだった。
「……て! うちの子を探して!お願いです!」
何だ? うちは確かになんでも屋ではある。だがそんなことを頼んでくる人間はそういない。なんでも屋というのは金をもらってするボランティアなものだと思っていた。しかしそんな馬鹿真面目な依頼なんてそうそうあるものではない。
「あー……確かにうちはなんでも屋ですがね。何度も言いましたがそういうことはまず警察に相談した方が……」
「警察じゃ遅すぎるんです! あの子に何があってからじゃ遅いんです! あの子は私の大切な……!」
なんだなんだ……。まぁいいや。タイムカードを押していつもどおり仕事だ。
「あ、ここのスタッフさんですか? 私こう言うものです。それでうちの子が突然いなくなったものでどうすればいいのやら」
……あー、なんだ。名刺を手渡される。ごく一般の名刺……って何だこれは、まさか……。
「一つ確認しますがこれは本物の名刺ですよね? もしこれがそうなら御自身の手で探された方が早いのでは?」
名刺を見て思わず畏まる。まさしく業界でも名を連ねる、ニュース等で引っ張りだこの弁護士だった。
なんだってこんな大物がこんなところに出てくるんだ。名前は……島崎聖羅。本物だ。しかしクールビューティなイメージがあるこの人がこんなに取り乱すのは何か事情があるようだ。
「わかりました。話を聞きましょう。奥へどうぞ」
そう言って応対室に案内する。これはどういうことだ……? こんな大物がこんな小さな事務所に入り込むなんて相当なものだ。まずは話を聞こう。
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