第1章

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放課後か。それまで時間がある。雪乃と私にも考える時間が必要だろう。何より雪乃には選択肢がある。母親と暮らすか、それとも私とともに生きるか。……まぁ答えは決まっているようなものか。 「私も仕事があるので一旦会社に戻ります。聖羅さんはどうしますか?」 「……私も一旦仕事に戻ります。放課後……三時頃でしょうか。ここに集合ということで。雪乃には私からメールしておきます」 ではそういうことで、と言った感じで別れる。仕事放り投げてこんな所まで来たんだ。会社で上司はお冠だろうな。 「戻りましたー。って何やってんですか?」 あれから三十分後くらいにようやく戻ってこれた。帰りは電車と徒歩で。車の購入を検討したかったくらい面倒だった。 「あぁ小林くん、戻ったんだね。彼女の様子はどうだった?」 さすがの上司も大弁護士相手には右往左往だったのだろう。非常に疲弊しきった空気とともに金の話をしていた。 「娘は無事に見つかりましたよ。彼女も落ち着いた様子でしたし何とかなりそうです。で、金の話は今しちゃっていいんですか? これからまた一悶着ありそうなので最後にしたほうがいいと思うんですけど」 と言うか今回あんたら出番ないじゃないか。そんな気持ちだった。 これからまた一仕事、頑張らねば。
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