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ため息を零してみる。
そんなもので何も変わらない。変わるはずもない。
またいつものように俺の〝敗北〟が増えただけ。
まぁ、たかがゲームだし。
別に遊びだから負けたって構わない。
運が悪かろうが、敗北しようが、大事なところでなければ俺は許容範囲だった。
負けることも大事だ、偶には痛い目に合うのも大切だ。
だけれど、いつも負けて、いつも痛い目に合うのはどうなの。おかしい気がする。
むしろ可笑しくて笑ってしまう。
「いいさ、いいよ。うん。俺は人生最弱。こうして引きこもってれば終われる」
こうして言葉にしないと不安で。心はとっても不安定で。
人生が狂ってしまうのではないかと。
1度は狂った人生だ。
もう一度狂うなんて容易い。
「そろそろ買い物行こう」
夜中2時。
静かで丁度良い時間帯だ。
財布を握り、ドアノブを捻ろうとした、その時。
───トントン。
と、ドアをノックする音が聴こえた。
こんな時間に、無礼な奴だ。
知り合いの少なさから人物の特定は簡単にできていた。
相手を想像させつつドアをゆっくりと開ける。
「時間を考えろよ、菱餅─ひしもち─」
「ねぇ、紗人─すずめ─くん?おれと〝良いこと〟しないかな?」
「今更俺にぶりっ子してどうするんだよ、意味ない。用件は?」
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