来るわず日常〝表面〟

7/9
前へ
/9ページ
次へ
「ちぇ、おれの何がいけないのよ。可愛い子ぶってあげたよ?それでも駄目なの?」 「可愛い子ぶってるところが駄目なんだよ、菱餅。お前の性格が大問題だ」 思い通りにする為に、可愛い子ぶって媚を売る姿勢。頭も悪くないから自分の可愛いところもわかってる。 そこは俺としては、強かで好感触なのだけれど。 何が問題かって、本当にそんなことして可愛いのもムカつくけれど、何より納得いかないのは 「並んで歩くと身長差感じるよね。紗人くんって器も身長も小さいから」 「気にしてる事をアッサリと言ってくれるなあ、女の子より低いとか死にたくなる」 腐りきった目に、金色に眩く輝くおかっぱ頭。 それが俺よりも高い位置にある。 165㎝の俺よりも5㎝は高い。 可愛い見た目で、その身長。 普通ならカッコ良いタイプの女子になるはずが、何故か可愛がられてる。 大学ではどうかしらないけれど、少なくともボロアパートではそうだ。 「なんで菱餅が可愛がられるんだろう。ただの悪魔で魔女じゃん」 「なによ、チビで嘘吐きに言われたくない。ただのクソ野郎じゃない」 ……。 ほら、何処が可愛いんだ。顔以外全滅してるじゃないか。 暴虐無人の嵐みたいな奴だぞ。 「反応してくれないとおれが悪口言ったみたいになっちゃうんだけど」 「あ、悪口って自覚してたんだ。俺は悪口言ったつもりないけどね」 「チビ、嘘吐き、情弱、唐変木、悪魔」 「ちょっと静かにしなよ、夜中なんだから。コンビニ内でもそれやったら本当に知らないからな」 隣で呪詛のように言ってくる罵倒の数々を押し退けて、見え始めたコンビニを指差して黙らせる。 それにしても、菱餅の奴。よく色んな罵倒を思いつくな。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加