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「あ、それが実はそっちじゃないの紗人くん。こっちこっち」
もう視界にはコンビニがあるというのにどういうことだ。
嫌な予感を感じつつも、手招きをした方に顔を向ける。
「なぁ、菱餅。ひょっとしてお前はコンビニという言葉を理解できてないのか?小学生でも理解してるぞ」
「ん?コンビニだよぉ?」
「可愛い子ぶるな。お前が指差してるのは車って言うんだよ」
辟易して、ため息が盛大に出そうになる。
いや気がつけば、ため息を吐いていた。
菱餅のやつわざわざアパートから離れた駐車場に車を止めていたのか。
やはり用意周到ではあるなコイツ。
「行きたきゃ1人で行ってくれ。俺はここのコンビニで事足りるんだから」
「女の子を1人で夜道とは危ないと思わない?」
「普通の女の子なら危ないから着いてくよ。でも菱餅、お前は悪魔だし魔女だから大丈夫だ」
危害を加えられる前に危害を加えてしまいそうだもんなあ。
俺が第1の被害者みたいなもんだし。
「酷いッ、酷すぎる。おれは1人寂しく歩いていたら、その辺の男に捕まってしまうんだ。一生奴隷生活なんだ」
腐りきった目で言われても、俺としては返答に困る。
まず、そもそも。コイツ車だし襲われるも何もないはずだ。
「一生奴隷生活って、19歳が何言ってんだ」
「お願いだって暇だろ、きてよ」
可愛いなりして悪魔のような性格の菱餅 遥奈。
それでも感性はそれなりに女の子か。
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