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「お願いしゃす!」
先輩が挨拶してくれるのを軽く返し、部室の扉を開ける。
「お。」
いつも男子部室の名にふさわしいほど汚かった部室は、今日は何故か綺麗だ。
その上、換気までされていてとても心地が良い。
たぶん、彼女がやったのだろう。
「堅石早くしろー」
「あっ、はい!」
ロッカーへ荷物を入れ、袴へと着替えるべく学ランを脱いだ。
「きゅうけーい!」
「あーっす!」
重たい面を外し、手ぬぐいで顔の汗を拭き取る。
「ふー…っ」
「知哉ー。」
「ん?どうした?」
竹刀を持った俺と従兄弟であり、同い年の道史が竹刀を持ってぺたぺたと歩み寄ってきた。
「さっきの小手打ちさー……ー……」
道史は確か、小3の時から剣道を始めたんだっけ。
「そりゃあ強い訳だよ…」
「聞いてんのか」
「いてっ。」
軽く額を殴られ、現実に引き戻される。
「だからお前は小手を打つとき…」
「それより、掃除してくれたのって榛葵?」
「あ?お、おう…だからお前は」
「稽古再開するぞー」
「あーっす。」
「…部活終わったら伝えるから!」
そう言い終えると不服そうにしながらも自分の面が置いてある所へ向かっていった。
「俺も面付けするか。」
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