第1章

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「新川さぁ~ん!」 突然、声がした。 その瞬間、美里の肩がびくんと跳ねたのが分かった。 「新川さん!こっちきて~!」 声の主は、松永 愛。 影で、通称【ヒメ】と呼ばれている子だった。 繰り返し呼ばれる声に、美里の肩が小さく震えているのが分かった。 (え…。まさか今回は、美里なの…?) そんな美里を、春香も驚いた顔で見ていた。 「新川さん」 なおも動かなかった、美里を見かねて、ヒメがこっちへ来た。 「なに無視してるの?」 そう笑う顔は、恐ろしく感じた。 「ぇ、え…。いゃ、ご、ごめん」 美里も相当怖がっていた。 「グループ、私達1人少ないの。入ってくれないかな?」 予想していた質問に私は、怖くてまともにヒメと美里を見れなかった。 美里もたぶん、名前を呼ばれた時点で気付いていた。 「ぇ、でも…。もう班決まって…」 そう言って、美里は私達を見る。 「ね、新川さん。私たちの班に入れていいかな?1人足りないの」 ヒメは、私達を見ながらそう聞いた。 私は何も言えなかった。 そして、春香もー…。 「…っ!」 美里の顔を見てなくても、どんな顔をしているか想像出来た。 だから私は美里と目を合わせることができなかった。 「ありがとう!じゃ、新川さん、よろしくね!」 そう言って、ヒメたちのグループの方へ連れて行かれた。
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