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「新川さぁ~ん!」
突然、声がした。
その瞬間、美里の肩がびくんと跳ねたのが分かった。
「新川さん!こっちきて~!」
声の主は、松永 愛。
影で、通称【ヒメ】と呼ばれている子だった。
繰り返し呼ばれる声に、美里の肩が小さく震えているのが分かった。
(え…。まさか今回は、美里なの…?)
そんな美里を、春香も驚いた顔で見ていた。
「新川さん」
なおも動かなかった、美里を見かねて、ヒメがこっちへ来た。
「なに無視してるの?」
そう笑う顔は、恐ろしく感じた。
「ぇ、え…。いゃ、ご、ごめん」
美里も相当怖がっていた。
「グループ、私達1人少ないの。入ってくれないかな?」
予想していた質問に私は、怖くてまともにヒメと美里を見れなかった。
美里もたぶん、名前を呼ばれた時点で気付いていた。
「ぇ、でも…。もう班決まって…」
そう言って、美里は私達を見る。
「ね、新川さん。私たちの班に入れていいかな?1人足りないの」
ヒメは、私達を見ながらそう聞いた。
私は何も言えなかった。
そして、春香もー…。
「…っ!」
美里の顔を見てなくても、どんな顔をしているか想像出来た。
だから私は美里と目を合わせることができなかった。
「ありがとう!じゃ、新川さん、よろしくね!」
そう言って、ヒメたちのグループの方へ連れて行かれた。
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