第1章

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学校へ着くと、もう結構な数の生徒たちが校庭に集まっていた。 それに気付いて慌てて、自分のクラスがどこにいるのかをさがす。 「優希~!こっちだよ!」 遠くで鈴の声がした。 声がした方を見ると、鈴が手を振ってこっちを見ていた。 『ご、ごめん…。寝坊した…』 鈴のいたところまで走って私は息を切らしながらそう言った。 「寝坊~?優希にしては珍しいね」 鈴は呆れながら私を見て笑っていた。 私達のクラスの列に並ぶと、先生たちが丁度集合をかけた。 そこから、前で校長先生が話をして注意事項を生徒指導の先生の話が終わると、クラス順にバスの方へと歩き出した。 その時、ふと疑問を感じた。 私達のクラスは、ほかのクラスがバスの方向へ向かった後、最後にバスに向かい始めた。 (あれ?他のクラスとはバスが止まってる場所違うのか…) クラスをバスに誘導するのは担任の先生だ。 うちのクラスの担任は、他のクラスとは全く逆方向へと誘導する。 「なんか私たちだけ方向違うんだね~」 誰かがそう言ったのが聞こえてきた。 だけど、私も、もちろん他の人もそれに対して深く疑問を持つ人はおらず、生徒全員がバスに乗り込むと先生が最後にバスに乗った。 「おまえら~!空港までは少し遠いから寝ててもいいが、お菓子とかは食べるなよ~」 担任がそう言って、バスは出発した。
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