第1章

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新年の集いは例年通り校舎より少し上の方にある白い講堂で行われた。和風の校舎とは打って変わって、尖ったいくつもの塔を持つその講堂は、酷く西洋的でそこへ延びる石の渡り廊下を歩く際、かなりの違和感を与える。だが、そんな光景も何年もここにいれば日常で、自己紹介を終えた生徒たちはぞろぞろと小さな塊を作りながらそこへと移動していった。 「だるいですねえ」  しかし。その流れに諾々と従いながらも、「春ですねえ」の穏やかさで穂刈がつぶやいた。 「そうだねえ」  江連も、黒い集団を見ながらそう呟く。背の低い彼女は、こんな集団の中にいると埋もれてしまうから、穂刈の長い腕が彼女の手をしっかりと握っていた。 「担任は辰野先生だしねえ」  ボブカットの細くて小さい女子生徒にきゃいきゃいと話しかけられて、困ったように笑っている辰野を見て、江連が首を傾けた。ちらりと穂刈に視線を投げかけると、彼女は大きな瞳をきれいな半月系にして、 「楽勝ですねえ」 と歯を見せて笑う。江連も、にやりと人の悪そうな笑みを浮かべ、いきなり私を見た。  私だって、こんな人ごみの中を講堂までつらなって歩くのはごめんだ。物珍しい新入生がいるわけでもないし、教師の顔ぶれが変わるわけでもない。なにより一番辟易するのは、学年主席の吟じる新学年の挨拶だ。本人の声でそれが朗々と読み上げられるとき―……頭の中がパンパンになって、破裂しそうになるのだ。 「じゃ、決まり、ね」
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